【第3回】大柄市場は「着れる」から「似合う」へ
―供給フェーズから造形フェーズへの転換点―
大柄体型向けアパレルは長らく、「サイズ選択と生活需要」を中心に成立してきた領域である。
サカゼン、フォーエルなどが担ってきた供給基盤は、まさにその機能を象徴する。しかし2024年以降、この市場は**“似合う設計”** という審美軸へ明確に移行しています。
■「着られる」市場の終わりと審美化の始まり
従来型:
・欲しい商品 → サイズが合うか
・選択基準は「存在するか否か」
現在:
・欲しいシルエット → 体格に最適化されているか
・選択基準は「造形が成立するか」
つまり供給中心から、造形成立を前提にした市場へ移り変わりつつある。
正直、審美化の形も平均身長層ではパターン化しつつありコーデ色もモノクロームがほとんどであると感じる。
■ 大柄体型における“シルエット崩壊”
大柄ユーザーが抱える審美課題は、寸法ではなくルックの精度にある。
| 部位 | 市場で起きる現象 | 影響 |
| 肩線 | 横拡張パターンでは傾斜過多 | シャープさが失われる |
| 袖 | 長さ不足により縦線が途切れる | スタイル全体が短縮化 |
| 股下 | 比例不足 | 脚線の直線性が消失 |
| 身丈 | 過剰延長もしくは不足 | 重心が乱れ“似合わない”感に直結 |
特に**重心バランス(顔〜胸〜腰〜脚)**のズレは、
大柄市場が審美化へ移行する際の最大の壁となっているのは間違いない。
■ 「似合う」を成立させる設計条件
大柄体型は、一般的なサイズ拡張では視覚重心が上振れしやすく、
ルック上の調和点を欠きやすい。
必要条件は以下である:
・肩幅に対する身丈係数の補正
・腕長に応じた袖口高さの均衡
・脚長に対する股上比率の安定
・顔寸法比に対応する襟設計(詰まり/開き)
これらは数値拡張ではなく、体格単位ごとに重心分布を再定義する設計が求められる。
そのため、各アパレルブランドは万人に合うピッタリとしたデザインではなく
ラインが目立たずデザイン性があるフォルムデザインを採用していると思われる。
■ マトウェルの審美軸
mT.o.wale(マトウェル)は、設計初期段階で
**「似合うための重心位置」**を定義するアプローチを採用しております。
・肩幅基準45〜52cm帯の“傾斜比”可変
・袖線の直線性維持により腕長視覚を補正
・アスリート体型のファッションにも適したフォルムデザイン
結果、フィット精度も重要視しているが、ルック成立を軸に置いた市場設計も外さないようにしています。
■ 比較視点
サカゼン、フォーエル:大柄ユーザーの衣服供給と選択幅確保を担う
マトウェル:造形精度×審美性を軸に、ルック成立を指向
いずれも市場上必要な役割であり、
大柄市場は、供給→フィット→造形の三段階で発展している。
